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「農業経営者倶楽部New Breadの研究開発」代表 平間優希

 名取市が全国に先駆けて取り組んでいる「こどもファンド」。子供たちが自主的・自発的に自分の住んでいる地域や学校の周りを、もっと楽しくて暮らしやすい場所にするためのまちづくり活動を支援するもので、子供たちからの提案を審査し採択した企画に対して最大10万円の活動補助金を支給する。
 なとらじプラスは今年度採択されたいくつかのチームの中から平間優希君に注目。

 宮城県農業高等学校の2年生、平間優希くん。彼が中心となり「天然酵母パンを名取から世界へ」というテーマでプレゼンテーションが行われた。メンバーは優希くんの他に3年生のかおり先輩と同級生のあやかちゃんの3名。企画内容を集約すると、名取市で収穫されている食材で天然酵母を作り、その酵母を用いて作った美味しいパンで県内外問わず多くの人に名取市を知ってもらおう、というもののようだ。

 優希くんのおうちはご両親がパン屋さんをやっている。朝早くから夜遅くまで働いているご両親の代わりに小さい頃から優希くんが兄弟のためにご飯を作っていたそうだ。毎日工夫しながら作っているうちに優希くんは料理をすることが楽しくなり好きになった。そんな優希くんが宮農に入学し「農業経営者倶楽部」に所属。そこは農業だけではなく多岐にわたって各々が興味あることを極める場となっている。

こどもファンドで発表する平間君

 今回農業経営者倶楽部からこどもファンドに出場するということで優希くんは両親のやっているパン作りと名取市で収穫される食材を組み合わせることを考え付いた。優希くんのおうちのパン屋さんは岩沼市にある「よつばベーカリー」というお店だが、長町や長命ヶ丘にもお店がある他、イベントなどがあればそちらにも出店している。天然酵母で作った「家族に食べてもらいたいパン」という愛情の詰まったご両親のパンは岩沼市だけではなくイベントの先々で広く知られているようだ。そういった広がりの可能性を自分たちで作るパンにのせ、名取市をPRできるのではないかと優希君は考えた。しかも名取市の食材をパンの中に入れるという単純な発想ではなく、パン作りには欠かせないイースト菌の代わりとなる天然酵母を名取市の食材で作ろうというわけだ。

 こどもファンドで採択された現在は天然酵母を実際に作る工程に入っている。時間をかけ温度管理などをしながらゆっくりと食材についている微生物を培養させていくのだが、これがなかなか大変で失敗もおおいそうだ。野菜より果物の方が香りもよくなるということがわかり名取産のいちごやメロン(北釜クイーン)でできないかと模索中のようである。ちなみに、天然酵母で作るパンは香りもよく風味、旨味が増す代わりに発酵力はイースト菌より劣るのだそうだ。

「応援してくれるたくさんの人に感謝しています。先輩、親、先生などに色々と教えてもらったりしたので期待に応えなければならないと今はいいプレッシャーを感じています。特に昨年のパンコンテストで決勝までいったかおり先輩にはすごく助けてもらっています。」

 天然酵母づくりを成功させ、美味しいパンになるまでにはもう少し時間がかかりそうだが出来上がったパンで名取市の名前を広め、名取市を盛り上げたいと優希くんは今も頑張っている。

★かおり先輩(目黒花織さん)宮城県農業高等学校の3年生で農業経営者倶楽部に所属。
数ある大会や競技会などで様々な賞を受賞。企業も一目置く頼れる先輩。「発酵」が好きという花織さん。今回のこどもファンドでは優希くんのサポート役に徹した。「昨年出場したパン作りコンテストなどでの経験や感覚をアドバイスできればな、と思っていました。不安や悩みをサポートしながら優希くんが楽しんでやってくれれば良いと思っています。」
今回こどもファンドに出て優希くんが変わったとその成長を感じているかおり先輩。優希くんは将来料理人になりたいという夢を持っているようだがかおり先輩の夢は?と問うと「先輩や先生方、地域の方にたくさんの事を教えていただいたので先生になって学校に恩返ししたいと思っています。」と目をキラキラさせながら答えてくれた。「ここはチャレンジできるエネルギーが集まっていてやりたいことを精一杯できる環境です。好きなことで地域に貢献できる充実感もあり毎日がとっても楽しいです!」よき先輩に出会えたことは平間君の今後にも大きく影響することだろう。

★農業経営者倶楽部 顧問 山根正博教諭
「農業経営者倶楽部では将来の農業の担い手を作るだけではなく、課題を解決できる人になってもらいたいと考えています。ここでは何を極めてもOK。生徒一人一人が探求心をもってそれぞれのやりたいことをやっています。料理・観光・語り部・デザイン・作文・商品開発など。特に私からの指導はありませんが目標だけ設定しています。皆、全国一位を目指すこと。色々な大会やコンクールなどで一位になるようにそのための勝ち方は彼らに伝えています。」その甲斐あって卒業生は全員、何らかの全国大会で優勝経験をもつそうだ。山根先生はなかなかのポジティブマン。生徒からの信頼も厚く話を伺っていると生徒との距離がとても近い人なのだろうと感じた。
「何かを追求してく過程で社会性や自主性を身に付けていってほしいと思います。」
ちょっと変わった経歴で今に至っている山根先生。この先生の経験と熱い思いが生徒たちに伝心し、そこから地域、社会へと繋がることを期待せずにはいられない。
(取材:NAOKO)

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