JR名取駅に近い住宅街の一角で、親子でヨガ教室を運営する宍戸一茂さん(43)。案内されたレッスンルームの片隅に、採ったばかりと思われる野菜が早速目についた。 子育てや仕事の傍ら、畑や田んぼを借りて野菜や米づくりに励んできた宍戸さんと奥さん。身体に良いものを食べたいという前提はもちろん、自然の中で作業したり、一からものを育てる醍醐味を楽しんでいた様子は、筆者も少々経験がありすぐに共感できた。
心や体の健やかな毎日を、ヨガを通じてフォローする立場。身体を司る食べ物にも気を配り、自ら育てて収穫したい思いは、農作業や収穫、仕込みや調理、そして口に入れた後の、良好な自身の体調を繰り返し実感することで、実現したいあらゆる夢につながる。
知り合いのラーメン屋さんの一声がきっかけとなり、現在、店舗で使用するネギの栽培に取り掛かっている。名取の愛島丘陵、東北最大規模の「雷神山古墳」の傍らに広がる600坪の畑を借り、同じく畑仕事に精を出す先輩農家さんに教わりながら、一年を通して野菜づくりと向き合う日々だ。
当初「無農薬野菜」づくりと聞き、正直限界があるのでは……と、少々疑問も浮かびながら取材に至るが、なるほど、勉強も実践も失敗も喜びも体感しながら、根本的な土づくりと向き合い、現在に至ることがわかった。百聞は一見に如かず、その土壌には森林で見かける「粘菌」が生え、足裏にはまるで山の中を歩いているような腐葉土の感触があり、「有機物マルチ」された野菜は写真の通り成長、収穫されていた。
「有機物マルチ」は環境負荷をかけない持続可能な方法として広まっており、土壌中の湿度が保たれ、微生物が生息しやすくなることで腐葉土のような土壌層ができ、害虫に対して土壌に生息する天敵の虫たちが補食することで害虫防除にもなる。取材日はとても蒸し暑く、虫に刺されるのも覚悟していたが、驚くことに刺されなかったことも、二人の土壌づくりへの熱意を実感する結果となった。
宍戸さん夫婦の夢ー少しずつ持続可能な形で進み、おそらく実現可能だろうと感じたのは、何よりも自然の力に惹かれ、夢中になって汗をかきながら野菜づくりに挑戦している前向きな姿勢にほかならない。この記事が掲載される頃、新たな夢の一歩、二人で切り盛りする「なないろごはん 」がいよいよ開店する予定だ。(この取材は開店以前のため、サービス内容に関する詳細は電話でぜひお問い合わせを)
なないろごはん
〒981-1224
名取市増田5丁目8-15(スタジオサンライト内)
TEL.022-384-4607